ビザ手続き案内
入国管理局では、それぞれのケースに応じて、おもに以下のビザ手続きが行われています。
在留期間更新(こうしん)
外国人に与えられる在留資格には「永住者」を除き、そのすべてに在留期間が設けられています。
与えられた在留期間を延長し、引き続き日本での在留を希望するときは、期限前に「在留期間更新」の手続きを行わなければなりません。この手続きのことをうっかり忘れるなどして在留期限が過ぎてしまうと、不法滞在となってしまいますのでご注意ください。
入管での手続きは、一般的に在留期限の3か月前から受け付けています。
「在留期間更新」では、大きく分けて次の2つのケースが考えられます。
(1) 申請の内容に変更がない場合
- 勤めている会社や仕事の内容が前回の申請の時と同じで、申請する内容に変更がない。単純な更新である。
(2) 申請の内容に変更がある場合
- 仕事内容が同じ会社に転職したときなど、在留資格に変更はないが、勤務先が変わったことで申請内容に変更が生じるとき。
「単純な更新」の場合、申請者の在留に関して特に問題がなければ比較的短期間で更新の許可がなされます。
「申請内容に変更がある在留期間の更新」は単純な更新とは異なり、新規に在留資格を取得するときや「在留資格変更」と同等の審査が行われます。たとえば転職後に在留期間の更新をする場合、申請する本人はもとより転職先についても、その事業内容・事業規模・経営状況・人員配置など厳格に審査が行われることになりますので、このことを十分理解した上で確実に許可を得るための準備をしておくことが必要です。
在留資格変更(へんこう)
現在行っている活動を変更し、新たに別の在留資格に該当する活動を行おうとするときや結婚・離婚など身分上の変動がある場合に行う手続きです。よくあるケースとしては、留学生が卒業して就職するときや既に就労を根拠とする在留資格を持っている外国人が日本人と結婚するときなどです。
なお、就労の在留資格を持っている外国人が日本人と結婚する場合は、在留資格を「変更することができる」のであって「変更しなければならない」わけではありません。ただこの場合、所謂「配偶者ビザ」に変更することによって、就労にかかわる制限がなくなるというメリットが得られます。
在留資格はそのときの活動内容に合致したものでなければなりません。留学生が卒業するときは卒業後の活動に応じた在留資格に変更する必要があります。また、付与された在留資格にかかわる活動を3か月以上継続して行っていない場合は在留資格の取消しの対象となってしまいますので、活動内容に変更があるときは速やかに手続きをすることが重要です。変更の手続きではそれぞれの在留資格の要件にしたがって、新たに始める活動や取得した身分が変更後の在留資格に適合するものであることを詳細な資料をもとにひとつひとつ証明していくことになります。
在留資格認定証明書(COE)
外国人が就労など長期に滞在することを目的として日本に入国する場合は、ビザ(査証)の発給申請を行う必要があります。
ビザ発給の手続きはおもに次の2つの方法に分けることができます。
- 入国を希望する外国人本人が、自国に置かれている日本の大使館や領事館に直接査証申請をする方法
- 「在留資格認定証明書」の交付を受けて、日本の大使館などに査証申請をする方法
1 の方法は、「日本大使館に申請⇒日本の外務省⇒法務省入国管理局⇒地方入国管理局で事実調査⇒法務省入国管理局⇒外務省…」といった手続きの順序があり、複数の行政機関が関与するため、ビザの発給まで多くの時間を要します。そのため、この方法は現在ではあまり利用されていません。
2 の「在留資格認定証明書」とは、日本に入国しようとする外国人の在留資格等に関して事前に審査し、その適合性が認められる場合に法務大臣が交付する証明書のことをいいます。外国人が日本に入国しようとする際に、あらかじめ交付を受けた「在留資格認定証明書」を日本の大使館や領事館などに提示すれば、日本での在留に関する適合性については既に審査を終えているものとして扱われるため、迅速にビザの発給が行われます。現在では、外国人が入国する場合のほとんどが、この「在留資格認定証明書」による方法で行われています。
※「在留資格認定証明書」は日本への入国を保障するものではありません。大使館における査証審査の過程で何らかの事情変更(就労先の経営不振など)があった場合や申請の際に提出した書類の内容が事実と異なると判断された場合にはビザの発給を受けられないことがあります。
※「短期滞在」「永住者」の在留資格については、在留資格認定証明書の交付は行われません。
在留資格認定証明書による方法で日本に入国する場合の手続きは、「短期滞在」などで日本に入国している外国人本人・受け入れ予定の企業や団体・日本に住む親族・申請の取次ぎを認められた行政書士や弁護士が、本人の居住予定地または受け入れ企業等の所在地を管轄する 地方入国管理局に在留資格認定証明書交付申請を提出することによって行います。審査の結果、「在留資格認定証明書」が交付されたときは、その原本を外国人本人に郵送し、本人はこれを持って日本の大使館や領事館でビザの発給申請を行います。その後日本に到着し、上陸の審査を受ける際にも在留資格認定証明書を提示しなければなりません。
在留資格認定証明書には有効期間があり、交付後3か月以内に日本で上陸の申請をしなければ無効となりますので、日本への入国についてはしっかりとした計画を立てておくことが必要です。
永住許可(えいじゅう きょか)
「永住者」とは、法務大臣が日本での永住を認める者で、その生涯を日本に生活の根拠をおいて過ごす者をいいます。
「永住者」の在留資格を取得すれば、日本での在留活動や在留期間に制限がなくなるため、他の在留資格よりも自由に活動できるようになり、また、社会生活においても信用度が高くなるなど、さまざまなメリットが得られることから、外国人の方々にとって「永住者」の取得はひとつの大きな目標といえるのではないでしょうか。日本に来て間もないときから「永住者」の取得を意識する外国人の方々も数多くいらっしゃるようです。日本での生活が定着し、その後「永住者」の在留資格を取得する外国人は一貫して増加傾向にあります。現在、日本に住む外国人の中で最も多い在留資格です。
《「永住者」のメリット 》
- 日本での活動に制限がない。(職業を自由に選ぶことができる。)
- 在留期間に制限がない。(ビザの更新手続きをする必要がない。)
- 社会生活での信用度が高くなる。(銀行の融資・住宅ローン・商取引など。)
《「永住者」の留意事項 》
「永住者」であっても、他の在留資格と同様に、外国人としての立場で生活することになります。
【 ※ 退去強制とは 】
不法入国,不法残留,あるいは法令違反で有罪判決を受けたり、懲役または禁錮1年を超える刑に処せられた人など、日本の社会にとって好ましくないと認められる外国人を強制的に国外に退去させること。
《「永住者」の要件 》
(1)素行が善良であること。
- 法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。
(2)独立生計を営むに足りる資産または技能を有すること。
- 日常生活において公共の負担(生活保護など)にならず、その有する資産または技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。
(3)その者の永住が日本の利益になると認められること。
- 原則として継続して10年以上日本に在留していること。
ただし、この期間のうち、就労資格または居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。 - 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。納税義務等公的義務を履行していること。
- 現在もっている在留資格の在留期間が最長(多くの在留資格は5年)のものであること。
- 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
※ただし、日本人、永住者または特別永住者の配偶者または子である場合には、(1)および(2)に適合することを要しない。また、難民の認定を受けている者の場合には、(2)に適合することを要しない。
【原則10年の在留に関する特例】
- 日本人、永住者および特別永住者の配偶者の場合、実態を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していること。その実子等の場合は1年以上日本に継続して在留していること。
- 「定住者」の在留資格で5年以上継続して日本に在留していること。
- 難民の認定を受けた者の場合,認定後5年以上継続して日本に在留していること。
- 外交,社会,経済,文化等の分野において日本への貢献があると認められる者で、5年以上日本に在留していること。
「永住者」は大きなメリットがある反面、取得手続きの際には非常に厳格な審査が行われます。永住の許可を得るには、 日本の法律を守り、課せられた税金をきちんと納めるといった基本的なことが大前提となっていますので、「永住者」の取得に際しては、平素からこれらの要件を意識した生活を心掛けることが重要です。
資格外活動許可(しかくがい かつどう きょか)
就労や留学などの在留資格で認められた活動以外に、収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動(アルバイト・副業など)を行おうとする場合には、あらかじめ「資格外活動」の許可を受けておく必要があります。
許可を得ることなく与えられた在留資格の範囲以外で報酬を受ける活動をすると不法就労となります。
《 資格外活動許可が必要な場合 》
~ たとえば ~
- 留学生が学費や生活費などを補う目的でアルバイトをする場合
- 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っている外国人が他の在留資格に該当する就労活動で副業やアルバイトをする場合など
《 資格外活動許可の要件 》
- 持っている在留資格の活動を妨げる資格外活動でないこと。
- 持っている在留資格の活動を維持継続していること。
- 資格外活動許可を受けようとする活動が、単純労働でないこと。
- 資格外活動許可を受けようとする活動が、風俗関係に従事する活動、公序良俗に反するおそれのある活動、法令で禁止されている活動でないこと。
- 在留状況に問題が無く、許可することが適当であること。
※「留学」「家族滞在」の在留資格の場合は単純労働が認められています。また、企業等の名称・所在地および業務内容を特定する必要はありません。(「包括許可」といいます。)ただし、風俗営業関係および性風俗関係(バー、クラブ、スナック、マージャン店、パチンコ店、ゲームセンター等)の仕事をすることはできません。
資格外活動として認められる時間は1週間に28時間以内(留学生の場合は夏休み等の長期休業期間中は1日に8時間以内)です。
就労の在留資格(「技術・人文知識・国際業務」など)の場合は資格外活動許可においても、単純労働は認められません。
(たとえば、英会話の講師をする一方で、販売スタッフやウェイトレスのアルバイトをすることは認められません。)
《 資格外活動に該当しない場合 》
- 業として行うものでない講演、講義、助言、鑑定、催物への参加、映画または放送番組の出演等に対する報酬や謝金など一定の臨時の報酬を受ける活動は、資格外活動ではありません。
- 現に有している在留資格で認められた活動の範囲内のものは資格外活動ではありません。(たとえば、「技術・人文知識・国際業務」で通訳の仕事をしている外国人が休日に翻訳のアルバイトをする場合など。)
- 収入や報酬を伴わない活動は資格外活動ではありません。(昼間は本業の仕事に従事し、夜間に大学へ通うことなど)
- 身分や地位に基づく在留資格(「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」など)は、就労に制限がないため、資格外活動の許可は必要ありません。